BCCJ Member Spotlight: Berry Bros & Rudd, Alex Harrison(日本語)

Written by BCCJ
January 21, 2022

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January 21, 2022

BCCJ Junior Editor, Wade Masahiko Thompson and Yu Takahashi caught up with Alex Harrison of Berry Bros & Rudd to learn more about his journey, the emergence of English Sparkling Wine, and the future of this exciting market. Translation support for this article was provided by Kei Kajihara.

 

ご自身について、またワインへの情熱やワイン業界での経歴についてお聞かせください。

子供の頃から、家族と一緒にフランスを主とした多くのワイン生産地に訪れる機会があり、シャンパーニュ地方や、ロワール渓谷など多くの場所を経験しました。大学では、フランス語とドイツ語を勉強し、リヨンにも留学しました。世界の美食の首都とも知られ、さらにブルゴーニュ地方やローヌ渓谷にもとても近いリヨンで学ぶ中で、ワインの世界への興味が湧き始めました。卒業後数年は、ワインとは別の分野で働いていましたが、Berry Bros. & Ruddで働く機会が訪れ、これは私の情熱と新しいキャリアへの絶好のチャンスだと思いました。

 

ワイン生産地としては無名だったイングランドが、今では世界でも有数のスパークリングワイン産地として知られていますが、このイングランド産スパークリングワインの台頭は何によってもたらされたのでしょうか?

イングリッシュ・ワインの興隆にはいくつかの要因が挙げられます。何よりもまず、情熱的な生産者や新しく意欲的なワインメーカーの存在があります。彼らはイングランド産のスパークリングワインの発展のために情熱と意欲を持って取り組んでいます。また、イングランドのワイン生産地としての潜在力が投資家の関心を引き、投資が行われているのも一因でしょう。これらの要因のもとで、ある種の正の連鎖が生まれました。ワインを飲んだ人々がその味に感動して好意的な反応を寄せ、それがワイン生産者やワインメーカーがより高い目標に向かって取り組み、より美味しいワインを生み出すモチベーションになります。この若くてダイナミックな前進し続ける勢いがとても重要なのです。

二つ目に重要なのが、気候変動です。イングランド南東部では、1950年以降、平均気温が2度上昇しました。そのため、商業用ブドウ栽培がより現実的なものへと昇華したのです。このイングランド南東部の環境は、1980年代のシャンパーニュ地方に比肩する好条件を兼ね備えており、気候変動はこのイングランド産スパークリングワインの可能性を高める重要な要因です。

 

イングランドのワイン醸造のルーツは何ですか?どのくらいの間製造されていますか?また、市場に出てからすぐに人気を得たのですか?

歴史的に見ると、イギリスはワイン生産地ではなく、主にロンドンを中心としてワイン取引の中心地として長い歴史があります。Berry Bros. & Ruddはイギリスで最も老舗のワイン&スピリッツ商ですが、創業は1698年です。これだけでも、イギリスがどれだけ長い間ワイン取引に携わってきたかが分かると思います。しかし、ブドウ栽培は厳密に言えば更に遡り、紀元前50年頃にはブドウの樹がローマ人によって植えられていた事を示す遺構や文献が残っています。征服王ウィリアムがイギリスに来てすべての人々に属する財産が登記されたthe Doomesday Book;ドゥームズデイ・ブックには、約47のブドウ畑が記録されています。ですが、商業的なブドウ栽培がイングランドで行われ始めたのは1950年代からと言ってもよく、最初のスパークリングワインが登場したのは1990年代です。人気の点で言うと、イギリス産のスパークリングワインは少し遅咲きだと思いますが、これは批判ではなく、どの新しいワイン生産地にも言えることです。新しい生産地が市場に参入し、批評を得て消費者の関心を引くにはどうしても時間がかかります。しかし、ここ10年でイングランドでの生産者数は格段に増え、イングランド産スパークリングワインの人気は本格的な高まりを見せています。

 

Berry Brosが日本で取り扱っているイングランド産スパークリングワインメーカーの一つである、ガズボーンについて教えてください。

ガズボーンは引退した外科医のアンドリュー・ウィーバーによって2004年に設立されました。彼がガズボーンを設立した時の目標は、イングランドのみならず、世界でも最上位のワインを造ることでした。その結果、ガズボーンは実際にその目標に達しています。彼らは、イングランド産スパークリングワインのパイオニアの一つであり、設立されてから10年の間にインターナショナル ワイン&スピリッツ コンペティションのイングランド産スパークリングワイン部門のイヤーアワードに2013、2015そして2017と三度も輝く唯一の生産者となりました。したがって、批評家の評価に於いても、既に高い実績を得ていることになります。アンドリュー・ウィーバーは細部へのこだわり、外科医のキャリアから得た絶対的な集中力をスパークリングワインに応用することで、多大な成功を収めている人物なのです。

 

イングランド産スパークリングワインとヨーロッパ近隣諸国やアメリカのワインとの違いは何ですか?

初めてイングランド産のスパークリングワインを味わう時には、二つのポイントを意識します。一つ目はよりフレッシュな味わいです。イングランド産スパークリングワインがフレッシュな味わいを持つ一方、近年、シャンパーニュは気候変動の影響から、より熟した濃厚な味わいになっています。したがって、フレッシュさはイングランド産スパークリングワインの大きな特徴と言えます。二つ目は、ワインが持つ果樹園の果物や青りんごの風味です。これらがイングランド産スパークリングワインと各国ワインとの違いであり、イングランド産スパークリングワインがイングランド産スパークリングワインたる特徴なのです。

 

良いスパークリングワインの条件とは何ですか?

高品質なスパークリングワインであるための重要な条件はいくつかあります。必ずしも必要なものではありませんが、三つの条件が挙げられます。第一に、伝統的な製法を用いていることです。伝統製法とは、ワインを瓶の中でも醗酵を促す、瓶内二次醗酵を行う製法を指します。このことが発泡性を生み出すのですが、最も労力と時間が掛り、費用も嵩むシャンパーニュをはじめとする世界の高級スパークリングワインで用いられる製法でもあります。第二の条件は、自然な酸味の強さです。

これは、バランスのとれたエレガントなスタイルとフレッシュさを出すのに重要です。最後に、澱(おり)熟成です。澱熟成は、瓶内二次発酵の後に、瓶を横にして熟成させることで、死滅した酵母が沈殿して澱になります。この澱は、ワインに質感と風味を与え、ビスケットやブリオッシュ、トーストのような風味を感じることができます。これによって、ワインの風味と質感の複雑さが強調されます。これは、ガズボーンのワインの特徴でもあり、ガズボーンのワインはすべて通常より長い熟成期間を経ています。これらの三つのポイントが高品質なスパークリングワインを示す証となります。

 

御社が日本で販売しているワインについて教えてください。

弊社では、ガズボーンが手掛ける3種類のスパークリングワインを取り扱っています。

一つ目が 2015 ガズボーン ブラン・ドゥ・ブランです。この商品はシャルドネを100%使用しており、その品種を最も純粋に表現しています。
リンゴや果樹園の果実の香りを感じさせるきめ細かくミネラリティが楽しめるエレガントなスタイルを持ちます。初めてイングランド産スパークリングワインを飲む方にお勧めします。

二つ目が、同じくガズボーンの、2015 ロゼです。柔らかでフレッシュな赤い果実の個性を持っています。非常にエレガントで一年中楽しむことができますが、私にとっては春や初夏の晴れた日の午後にぴったりのワインです。

最後に、2016 ガズボーン ブリュット・リザーヴ です。このワインは、シャンパーニュで使用されるシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの三種全てのブドウをブレンドしています。ピノ・ノワールとピノ・ムニエが豊かな果実味を加えるため、このワインはふくよかさや丸みを帯びたものでもあり、シャルドネのエレガントさとフレッシュ感も持っています。私が思うには、フェスティブシーズンにぴったりなワインです。

挙げて頂いた三つの中でどれが一番お気に入りですか?

選ぶのは難しいですが、クラシックなイングリッシュスパークリングワインを経験するならば2015年のブラン・ドゥ・ブランがオススメです。さわやかでピュアな味わいで、絶対に美味しいです。

 

スパークリングワインの楽しみ方を教えてください。

イングリッシュスパークリングワインは、お祝いの機会や食前酒として飲むのに最適です。食べ物とよく合い、牡蠣、舌平目のブールブランソース、お寿司には2015年のブラン・ド・ブランを提供します。2015年のロゼは、マグロやサーモンの刺身、またはフェンネルとサーモンの炙り焼きと組み合わせることができます。2016年のブリュットリザーブは、ロブスターテルミドール、ドレスドクラブ(カニの甲羅に身とカニ味噌などを詰めたもの)、もっと英国人の感じを味わいたい場合は、フィッシュアンドチップスがよく合います。

 

イングランド産スパークリングワインの将来をどう考えますか?また、日本の市場で成功するための期は熟しているでしょうか?

日本はシャンパーニュ輸入世界第3位の大市場です。したがって、日本のお客様は高品質なスパークリングワインを熟知されており、非常にダイナミックで大きな需要があると見ています。イングランド産スパークリングワインを飲んだことがない方は、ぜひ一度試して頂きたいと思います。

Gusbourne’s wines are available to purchase at Berry Bros. & Rudd Japan’s website, https://www.bbr.co.jp (Japanese language only) or can be ordered in English by emailing [email protected], where an English-speaking Account Manager will be available to assist with your order.  To learn more about Gusbourne’s wines, please visit https://www.gusbourne.com/